数千年前の未だ解明できない古代文明の全盛期
この星にはたくさん月があった

夜を照らすための月だったが 文明が滅びてその技術が失われ
月を維持する術が無くなると
次々に月が落ちていって星を傷つけた

そして今…
最後の月がその時を迎えようとしていた…





「おい!デル! 見てみろよアレ リングがもう5つしかないぜ
あと一週間ぐらいで崩落するな」

「ああ…」
「そしてここにも番人がいるだろう」





「じゃあオレたちはここらへんで 落ちたリングの調査するから…」
「番人のほうは まかせたぜ」

「ああ まかせとけ」

「止まれ!! 何者だ!!」

「オレは灯月(ゼアムーン)の調査隊員デルだ」
「あやしいものじゃない!」





「私はこの月の番人オルトだ
私の言葉がわかるとは珍しい冒険者だな…
何しに来た?」
「お前も不死の力が目当てか?」

(月の寿命って言っても信じないからな番人(やつら)は
ケーブルさえ外せればいいんだ…)
「ち、違うよ… 実はさ…
あんたに届けものがあってさ」

(一番下のリングから不死のエネルギーを供給している…
あの運命のケーブルさえ外せれば…!!)

「ほら…」
「欲しかったらココまでとりに来い この…」





「するめ」

「去れ!!」





「笑いごとじゃねぇ」
「あんな頑固な番人はじめてだ
いきなり吹っ飛ばすなんて…」

「まぁ…わかってるとは思うが
リングが残り一つになったら引き上げるぞ?」
「月を支えている光の柱をさらに支えているリングがなくなったら
崩落の時だからな」

「ああ
それまでには説得する」





「!」

「・・・・・・」





「・・・・・おいしいよ?」

その後もデルは説得を続けたが…
ことごとく失敗していった






そして…

「あ〜… もうネタがない…」

「どうすりゃいいんだ…」
「おい!デル!もう引き上げるぞ リングがもう残り一つだ」

「やはり番人は月と一緒に滅びる運命なんだよ」
「…こんな大海の真ん中だから崩落の被害も少ないだろう」





「最後の番人ぐらい…
助けたかったけどな…」

27の月と… 27の番人…

遠い昔に番人を救ってほしいと
約束した…
オレのばあちゃんと…
だから…

もう少し…
がんばってみるよ





「私は死ぬのか?」

「ああ。他の番人も月も全部死んだ」
「みんな頑固で『月と一緒に死ぬ』と言って…
ケーブルさえ外せば助かるんだ…
不死の体では無くなるが」





「そうか…」
「ならば私も番人らしく月と運命を共にする
…お前は去れ」

「オレの言うこと信じるのか? …月が死ぬって」
「ああ。うたがう余地が無いからな」

(信じてくれたのはじめてだ… もしかしたら)
「じゃあ ちょっと…
取り引きしないか?」

「かんたんな賭けさ!」
「オレがお前のこと言い当てるからさ
当たってたら『Yes』のかわりに一歩ずつこっちに来てくれ」
「一個でも違ったらオレはここから出てくからさ!」





「いいだろう」

「じゃあまずは… お前の名前はオルト…
オルト=バークータだ」
(よしっ あとは 記憶が頼りだ!!!)

「お前が生まれた所は草の芽の出でる所で…」
「それから… それからお前の」

26の番人について教えておきます…





三番目のエスケは日なたぼっこが好きで
あーそうそう白い色の物が好きなんだっけ…

「父は灯月(ゼアムーン)の開発責任者で母は神官
兄弟にブレイ、インサ、ターグがいる」
「年齢は今 五千七百二十四」

十七番目のペスはとっても明るい元気な女の子で…

「6歳のとき骨折をしたことがある」
「その時はじめて姉におんぶされた」

「お前は…」「いったい…」





最後のオルトは少しだけ泣き虫だった

強くも無いのにやさしいから…
夜の森で…
迷子になった弟を一人で迎えに行ったこともあったみたい

家に弟を連れて帰ってきたときは
オルトのほうが涙でぐしゃぐしゃで…
もう…おかしいったらなかった

きっと…いつまでも
変わらないんじゃないかな





「最後の…」

「しつもんだ」

「お前は」

「…一人がキライだな?」





「私からも一つだけ…」
「聞いてもいいか…」

「なぜ番人を助ける?」





「ばあちゃんの言葉 信じてる…から かな」

最初の… 番人の言葉

ケーブルを外した番人は…





「幸せになれるって」


〜Fin〜


Back


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送